27 椿尾ごんぼ

椿尾ごんぼ「つばおごんぼ」
(キク科)
主な産地 奈良市北椿尾町、南椿尾町
栽培面積(自給用に栽培、0.1ha) 

 「ごんぼ」は「ごぼう」をあらわす方言。 椿尾ごんぼの産地は紅葉の名所であり、清酒発祥の地としても知られる菩提山町の名刹「正暦寺」に隣接する奈良市椿尾町です。 北椿尾町にはかつての郡山城城主である筒井順慶が築いたとされる山城跡を有しており、野生の椿が多く自生していることから椿尾(つばお)と呼ばれるようになったのが地名の由来。 北椿尾町と南椿尾町からなる集落は、今でも昔ながらの山間部地域の面影と文化が受け継がれている地域でもあります。
 この地域でのごぼうの収穫は毎年12月の中頃からで、椿尾町ではお正月のお雑煮の食材としてごぼうを欠かすことはできません。食した時の豊かな香り、そして柔らかい食感を生かして、里芋と大根、そしてお餅を食材に白味噌で味つけられたお雑煮はこの地域の代表的な郷土食です。その他にも「きんぴら」、「煮物」、「胡麻和え」など、お惣菜として冬の食卓を演出しています。
 この地域と縁のある人以外には、ほとんど知られることなく作り継がれてきたごぼうですが、地元では100年以上も前から「椿尾ごんぼ」と呼ばれ、お歳暮の時期になると親戚、そしてお世話になった人々へと、日ごろの感謝を込めて手渡されてきた歴史をもっています。