22 軟白ずいき

軟白ずいき「なんぱくずいき」
(サトイモ科サトイモ属)
主な産地 奈良市狭川地区。
栽培面積(0.05ha)。

 天平時代に芋茎(ずいき)が利用されていたことが「東大寺正倉院文書」に記載されている。ずいきとは里芋の芋茎部分の名称。里芋は、熱帯アジア原産の人類最古の栽培植物の一つとされており、現在でもポリネシアなどの南太平洋の島々では主食とされています。 日本へは中国からと、沖縄からの二つのルートで伝来したといわれており、沖縄の「タイモ」、京都の「海老芋」など、それぞれの土地に根付いた多くの品種が存在しています。
 スーパーなどの店頭に並んでいる里芋のほとんどが「土垂」、「石川早生」、「セレベス」といった早生の品種に限られていることが多く、一般的には里芋に多くの品種が存在していることはあまり知られていません。奈良県でも多くの里芋の品種が確認されており、主に自給野菜として唐の芋や八ッ頭といったアクの少ない品種の芋茎が古くから食用として利用されています。乾燥することによって保存食にもなり、「古い血をおろす」といわれお産の後に食されてきました。この軟白ずいきも、唐の芋という品種の芋茎を遮光資材で軟化栽培したもので、主に奈良市狭川地区で栽培されています。 
  高級食材としての地位を確立している軟白ずいきですが、成長に合わせて遮光資材の管理をしなければならないなど栽培に非常に手間がかかるため生産量は横ばいでです。また、京都の料亭などへの卸業者との契約栽培がおこなわれている為に、県内で流通することはほとんどなく、京都の高級料亭では和え物などに調理し利用されています。平成17年に大和野菜の認定を受けながらも、奈良県民にはとってなじみの少ない野菜となっています。