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20 花みょうが
「はなみょうが」
(ショウガ科ミョウガ属)
主な産地 吉野郡、五条市
栽培面積(75ha)
元々アジア東部が原産地となる「みょうが」は、本州から沖縄にかけて野生のものが自生し、三世紀に記された「魏志倭人伝」の中には既に栽培の記述があることからも、古くから食用とされてきたことがうかがえます。
みょうがは山椒・ミツバとならび、裏庭や屋敷林の木陰で、多く育てられている作物の一つ。県内では7月から収穫される早生の夏みょうがと8月のお盆頃から収穫の始まる秋みょうがが存在しています。大和野菜として「花みょうが」との名称で呼ばれているのは、その内部に開花前の蕾(花穂)を持っている為で、つまり、「みょうが」とはこの植物の開花前の花の部分という訳です。
半日蔭の土地を好み、傾斜地でも栽培できることから、五条市、吉野郡などの山間地では、古くから花みょうが栽培の振興が取り組まれています。収穫期は、晩夏から初秋にかけての約一カ月間。収穫された花みょうが独特の香りは、秋を告げる風味として素麺、うどんの薬味として香辛菜として利用されます。また味噌汁の具材、天ぷら、たまごとじ、酢味噌和えに、お漬物、そしてみょうがごはんなどに調理して食されるなど、その食文化は和食の薬味として欠かすことのできない存在として多岐にわたっています。
みょうが独特の香りの成分は針葉樹などにも含まれているαピネンと呼ばれるもので、リラックス効果、発汗促進作用、そして血液循環を調整する働きがあるとされています。