05 マクワウリ


「マクワウリ」
(ウリ科キュウリ属)
原産地は,アフリカとも,中近東とも,インドともいわれています。その後、シルクロードを通り,中国・韓国を経て日本に渡来したと考えられます。約2,000前の弥生時代の遺跡である唐古・鍵遺跡(現在の奈良県磯城郡田原本町)では、土器に付着したマクワウリの種子が見つかっています。

 熱い毎日が続く夏休みのこの時期は一年で最も果物の美味しい季節です。今回の「大和伝統野菜ものがたり」は以前にご紹介した「大和スイカ」と同様、夏に旬を迎える大和の伝統野菜の一つ「マクワウリ」を紹介したいと思います。
かっての都である藤原京跡や平城京跡から種子が発掘され、また万葉集の中で、山上憶良が離れて暮らす子供たちを思い詠んだ歌である「瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ 何處より 来りしものそ 眼交に もとな懸りて 安眠し寢さぬ」(巻第五・802) の中で瓜として登場することからも理解できるように、マクワウリは古くから栽培がおこなわれてきたメロンの御先祖様といえる存在です。
名前の由来は美濃国(岐阜県南部)真桑村(のちの真正町、現:本巣市)にて、多く栽培されていた為に、その地を冠して「真桑瓜(マクワウリ)」の名前がつけられたとされています。
糖度の高い果物を食している現在では想像しにくいのですが、芳香に優れているマクワウリは昭和30年代までは高級な食材としての地位を確立し、奈良県内のみならず、全国各地で多くの地方品種が栽培されてきました。ところがそのマクワウリにも大きな転機が訪れます。 昭和37年頃、マクワウリとヨーロッパ系メロンを交配した「プリンスメロン」が誕生し、その後のネットメロンの普及により,糖度で劣るマクワウリの生産はみるみる減少していきました。 しかし、現在でもマクワウリは、お盆のお供えとしての需要と、昔ながらの風味を楽しむ人々に愛されて県内各地で、家庭菜園で栽培されています。 平成18年には優れた特徴を有する奈良のマクワウリが「黄金マクワ」の名で、大和野菜に認証されています。 大正時代に在来の系統を導入し、奈良県農事試験場で育成された「奈良1号」は今でもマクワの基準品種とされており、全国で生産される種子の多くが奈良県から供給されています。