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26 八条水菜
「はちじょうみずな」
(アブラナ科アブラナ属)
主な産地 奈良市、天理市、曽爾村、桜井市、御杖村
栽培面積(30ha)
水菜といえば京菜(きょうな)という別名があることからもわかるように、京都の九条東寺付近で栽培が始まったといわれています。
葉柄が長いのは川で生まれ水に浸かって育ったためで、畝間に水を引いて栽培されていたことから水菜と名付けられ、また切れ込みの深い葉が特徴であることから「ヒイラギ菜」、多くの葉柄が密生することから「千筋菜」とも呼ばれています。京都で生まれた水菜はハリハリ鍋やすき焼きなどの鍋料理をはじめ、サラダなどに利用され各地に広がっていますが、奈良県でもブランド野菜として知られる水菜が存在しています。それが奈良盆地の一角である奈良市大安寺八条を生産地とする八条水菜。大安寺八条地域は竹供養で知られる大安寺の西側に位置する地域で、平坦な地形に水田が広がっています。
かつてこの地域では水稲の裏作として麦や小麦を栽培していたが、その後水菜栽培がおこなわれるようになります。この地で育てられた水菜は、細くて白い茎、柔らかい食感が市場で高い評価を得てその名が知られ、地域の名を冠して八条水菜と呼ばれるようになりました。出荷のピークは11月上旬から1月下旬頃となりこの時期に出荷されます。
優れた品質の理由に、毎年この地で種を採り優れた品質を選抜する自家採種があげられ、親となる水菜を選ぶのは長年の経験と勘がたよりとなり、各農家によって微妙に異なる個性があります。長年にわたる作り手の研究と努力、そして八条の気候風土によって生まれる八条水菜は鍋や漬け物をはじめ、炒め物やサラダなどアイデア次第で幅広く調理する事ができる親しみやすい大和の伝統野菜といえます。