13 大和の大豆

大和の大豆「やまとのだいず」

私達日本人には切っても切り離せない食材の一つでもある大豆は日本料理に欠かせない調味料である味噌に醤油、そして多くの家庭の食卓で目にすることのできる豆腐や納豆にもやし、そして和菓子の材料であるきな粉など、そのまま食する野菜であるだけでなく、このように様々な食材の原料としても多く使用されています。そしてその大豆には緯度が2度異なるごとに品種が変わるといわれるほど多くの品種がそれぞれの地域に存在しています。中でも全国的に有名なのは、枝豆として食する時の豆の色合いから「紫ずきん」と呼ばれる丹波の黒豆や、これまた枝豆で食べる時の風味の良さで知られる山形県の「だだちゃ豆」。 豆腐や味噌の材料として有名なのは北海道の品種である「つるの子」や「鶴娘」といった白い大豆があります。また信州の青い大豆の一種は硬く実った豆を浸して食べることで知られています。このように、一口に大豆といっても色も利用する用途も様々です。 現在、栽培されているほとんどのものが品種改良された白色の大豆、または近年になって広がった丹波の黒大豆となっていますが、大和の地にも土地の食文化とともに受け継がれてきた多くの品種が存在しています。まずは「きな粉」にするとなんともいえない香ばしさが生まれる緑大豆、この大豆はお米の刈り入れが終わった頃に農家の楽しみとしてつくられてきた「いのこ餅」と呼ばれるお餅のあんこにも使われます。そして五条市で「味噌に入れると味が良くなる」と言い伝えられてきたのが茶豆。丹波の黒大豆よりも一回り小柄ながらも枝豆で食べると美味しい御所市の黒大豆。最後に馬の鞍の模様にちなんで「くらかけ豆」と呼ばれる大豆は平たい形に独特の模様で人目をひきますが、枝豆としても煮豆としても美味しくいただけます。