02 ひもとうがらし


ひもとうがらし

「ひもとうがらし」
(ナス科~原産地:南アメリカの熱帯地方)産地:奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市などの奈良盆地。とうがらしの仲間は南アメリカの熱帯地方を原産としています。トウガラシという名は甘味種であるピーマンやパプリカに対しての総称となっています。

 五月の連休は家庭菜園を楽しんでいる方にとっては野菜苗を移植する時期でもあります。大和の伝統野菜を栽培してみたいと考えておられる人に、苗屋さんで購入することができるお勧めの野菜があります。今回の大和伝統野菜ものがたりは、大和野菜としても認証されている細くて長い姿が特徴の「ひもとうがらし」を紹介してみたいと思います。
 とうがらしの仲間は南アメリカの熱帯地方を原産としています。2000年前には既に栽培されていたとされており、15世紀の新大陸発見以降にコロンブスによりアメリカ大陸からスペインにもたらされ、その後は大切な調味料として世界各国に広がってゆきました。
 日本へはインドから中国を経由して伝えられたとされています。我が国ではうどんの薬味として、または漬物の香辛料として古くから利用されてきました。そのような歴史をもつトウガラシですが、その後は各地域で様々な辛味と風味、そして形状をもつ地方品種が誕生していきました。一例を挙げると、辛味の強い品種としてよく知られるものとしては、一味や七味唐辛子の材料としても利用されている鷹爪(たかのつめ)があります。また辛味の少ない品種としては、京野菜として知られる大型で厚い肉質の万願寺トウガラシに、果実の先端の形状が獅子面に似ていることから獅子唐(ししとう)と呼ばれるものがあります。
 ちなみに同じナス科トウガラシ属のピーマンは大型で甘味の強いものを。パプリカはそのピーマンがハンガリーで改良されたものでピーマンより肉厚と甘味がある品種です。
 そして、ここで紹介する「ひもとうがらし」も辛味の少ない品種の一つ。細くて長い形状が特徴で、その容姿から「みずひきとうがらし」と呼ばれることもあります。非常に多収で、夏から秋にかけて枝いっぱいに細長い果実を実らせます。一般的には収穫した青い果実を種ごと炒め物に調理して利用されてきましたが、煮物、揚げ物にも向いています。一般の野菜に比べてビタミンCを多く含み、食物繊維やカロチンも豊富に含まれていることが栄養学的な特徴になり、油を使った料理はビタミンAやカロチンの吸収を促進するとされています。