11 大和まな

大和マナ「やまとまな」

 ひょうたん型をした京野菜の鹿ケ谷かぼちゃ、大型で存在感のある石川の加賀太きゅうりなどに代表されるように、伝統野菜の特徴に個性的な姿形があります。そして姿形の他に独自の彩りや風味をもっていることもあげることができます。今回は姿は地味ながらも個性的な風味をもっている「大和マナ」を紹介していきます。
大和マナは一見すると小松菜に大根葉のような切れ込みがはいったような姿をしていて、栽培時期の秋から冬にかけてはおなじみのキャベツ、大根、白菜といった冬野菜の畑に特別に目立つ事もなくとけこんでいる。この大和マナはアブラナ科の一種で、同じ仲間としては、兵庫県の「丹波菜」や花茎を食用とする「茎立菜」、または独特の風味がある三重県の「三重菜」などが挙げられます。
この菜は、霜にあたる12月以降に本格的に味が良くなり、他の漬け菜にない軟らかさと独特の風味と旨みが増し、漬物や煮物にすることによって、晩秋から冬にかけて大和の地方色豊な総菜となります。ところが意外にもこの大和マナは奈良県でもまだまだ知られていないことが多い。その理由は収穫が冬季の一時期に限られ、他の野菜のように周年栽培が難しいために、大規模な流通にのることなく農家の自給野菜として利用されてきたことによります。
しかし近年になって奈良県の農業試験場が品種の系統選抜をおこなって特産化の取り組みが広がりをみせています。