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はじめに
「スローフード」に「食育」、そして「地産地消」といったキーワードによって各地の食文化が見直されていく中、伝統野菜が大きな注目を集めています。京都の京野菜、石川の加賀野菜、そして近年になっては福井の伝統野菜に難波野菜など全国各地で取り組みは広がっています。そんな時流の中、奈良県でも県内産野菜のブランド化を目標に、
①県内で生産されて、十分な生産量があること
②伝統野菜だけでなく、栽培方法などにこだわりをもつ品目もこだわり野菜として加えること
③伝統野菜は戦前から栽培されていること
を基準として、現在19品目の「大和野菜」の認証が行なわれました。認証を受けた伝統野菜は17品目ありますが、その他にも生産量が少ないなどの理由で、農家の自家菜園の中に眠っている伝統野菜も奈良には数多く存在しています。それは「家族の誰々が好きだから」といった理由で、私たちの足元でひっそりとつくり続けてこられた農家の自給野菜です。
先人が地域の気候風土の中で長い年月をかけて育み、継承してきた伝統野菜はその地域に固有の食文化の詰まっているかけがえのない文化遺産でもあるのです。このコーナーでは私達の足元で「売るため」でもなく「伝統を守るため」でもない、家族の喜ぶ顔を思い浮かべながら育てられ、作り手の心や土地の食文化と共に受け継がれてきた大和伝統野菜の物語を紹介していきたいと思います。